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今月の健康コラム

急性アルコール中毒

2012年6月20日

  7月8月は、暑気払いなどの飲酒機会が多くなる季節です。お酒の飲み方によっては、楽しいはずの時間が一転することも少なくありません。「私は大丈夫!」と自信を持っていても、その日の体調や環境により急性アルコール中毒の症状に陥ることもあります。最近2年間の千葉市消防局警防部救急課の資料によると救急搬送された89266人のうち1196人(1.34%)は、飲酒が原因で救急搬送されています。救急搬送の時間帯は21時から24時まで(3時間)の救急車要請が多く全体の30%以上を占めており19時から午前2時までの(8時間)の救急車要請は約64%を占めています。日中である9時から18時までの救急車要請も約17%あります。急性アルコール中毒にて救急搬送された人のうちでは20歳代の人数が多く全体の約36%を占めます。急性アルコール中毒にて救急搬送された人は男性が約72%を占めますが、20歳代では男性よりも女性の方がやや多い割合を占めています。これらの理由として、グループで盛り上がって飲酒する機会が多いこと、経験の浅さから自分の適量が分からず、無謀な飲酒をしてしまうことなどが考えられます。救急搬送人員は12月が最も多く、歓送迎会などが多い3月4月や、暑気払いなどが開催される8月と続きます。急性アルコール中毒が原因で救急搬送される人の数は、大勢で飲む機会が多い季節とほぼ一致しています。救急車搬送での急性アルコール中毒の初期治療は、ほとんど千葉市夜間初期診療部及び休日救急診療所に搬送されています。


  急性アルコール中毒とは、お酒に含まれるエチルアルコール(エタノール)を、短時間のうちに大量に摂取することにより血中アルコール濃度が上昇しアルコールの毒性により中毒状態になることです。アルコールは脳を麻痺させる性質を持っています。アルコールによる麻痺は大脳辺縁部から呼吸や心臓の働きを制御する脳幹部にまで進み、最終的には生命維持にかかわる脳の中枢部分も麻痺させてしまい、呼吸機能や心拍機能を停止させて死に至ります。通常、飲酒をすると「ほろ酔い期:血中アルコール濃度0.05~0.1%」「酩酊(めいてい)期:血中アルコール濃度0.1~0.2%」、「泥酔期:血中アルコール濃度0.2~0.3%」、「昏睡期:血中アルコール濃度0.3~0.4%」という順で、徐々に血中アルコール濃度が上がります。日常的に摂取する少量のアルコールでも顔面紅潮や注意力の低下、気分の高揚、多弁などの状態になりますがいわゆる"ほろ酔い"状態です。本人も酔ってきたという自覚があり、飲みすぎると足元がふらつく、吐き気がするなどの症状も出るので、自分自身である程度は飲酒量をコントロールできます。この状態で医学的に急性アルコール中毒として病院に運ばれることはまずありません。さらに摂取アルコール量が増えると、舌がもつれたり、感情失禁(いわゆる笑い上戸、泣き上戸)、異常行動、傾眠傾向がみられたりします。このあたりは血中アルコール濃度でいえば、0.1~0.3%程度になり、急性アルコール中毒とひどい酩酊状態との境目となります。個人差も多く、その時の環境にも左右されます。飲酒開始から血中アルコール濃度の上昇までには時間差があり、血中アルコール濃度がピークに達するには飲酒後30~60分の時間がかかります。日常簡単にアルコールが入手できること、アルコールによる気分高揚作用と宴会などでの悪い習慣として、"一気飲み"をして酔っているという自覚なしに危険な量のアルコールを摂取してしまうことがあります。この場合、ほろ酔い期、酩酊期を飛び越えて一気に泥酔期や昏睡期に到達してしまいます。意識が混濁し、強度の運動失調、また昏睡、血圧、体温の低下もきたし、死亡の危険も出てきます。急性アルコール中毒の発生は「お酒に強い体質」と「お酒に弱い体質」とは関係がありません。あくまでも血中のアルコール濃度、飲んだアルコールの量に比例し、誰でもが陥る急性中毒です。


急性アルコール中毒にならないための7ヶ条

(1) 自分の適量を知るとともに、その日の体調にも注意しましょう。
(2) 短時間に多量な飲酒(一気飲み)をすることはやめましょう。
(3) お酒が飲めない人は、周囲の人に「お酒が飲めない体質です」と事前に伝えましょう。
(4) 飲酒の無理強いはしないようにしましょう。お酒が飲めない人にはお酒をすすめてはいけません。
(5) 一緒に飲んでいる周りの人も、節度ある飲酒について注意をはらいましょう。
(6) 周囲の人は酔った人に付き添い、一人にしないようにしましょう。
(7) 酔った人が吐いた場合、吐いたものが喉につまらないように注意しましょう。

過度の飲酒による事故を予防することが第一ですが、もし身近で万が一事故(急性アルコール中毒)が起こってしまった場合、救急車を要請することが必要ですが同時に生命に直接関係するような救命手当が必要です。心肺蘇生を覚えておきましょう。アルコールは、摂取量によっては死亡することもあります。たかがお酒、されどお酒です。最後に急性アルコール中毒が発生した状況において、刑事責任を追及される場合があることもお忘れなく。

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