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今月の健康コラム

無症状期間も放置は厳禁「梅毒」

2022年9月9日

梅毒は、梅毒トレポネーマによる性感染症です。感染者数は1989年のピークを境に減少していましたが、近年著しく増加しています。症状が病期によって異なり、一定の期間ののちに軽快するのが特徴です。ただし症状がない期間も感染は持続しているため、疑われる症状がある場合には、専門医に相談するようにしましょう。

梅毒とは

 梅毒は、梅毒トレポネーマへの感染によって発症します。性行為のほか、傷口に体液が付着することなどでも感染の恐れがあります。

 日本での感染者数は、1989年に2,989人を記録して以降減少していました。しかし近年再び増加しており、昨年には1999年以降最多となる7,983人、今年は7月3日時点で5,616人を記録しました。

 症例が多かった5都府県は、東京都(2170例)、大阪府(738例)、愛知県(367例)、福岡県(301例)、神奈川県(290例)と大都市に集中していて、背景として、SNSなどの利用により不特定多数と気軽に性行為が行われるようになったことや、性行為の多様化が進んだことなどが挙げられています。

 また、梅毒以外の性感染症(淋病、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマやエイズ、サル痘など)も二重感染などで今後増えていくと予測されています。

 梅毒の症状ですが、感染後、すぐに症状が現れるわけではないのに加え、初期症状は自然に軽快するため発症に気づかないことがあります。放置していると心血管や神経、さまざまな臓器に影響を及ぼす可能性があります。また妊娠中に感染すると、胎盤を通じて胎児が発症する恐れがあるため、注意が必要です。

梅毒の症状

 梅毒は3~6週間の潜伏期を経たのち、時間の経過に伴ってさまざまな症状が現れます。

第一期梅毒 潜伏期間後、感染した場所に(性器、肛門、口など)に、『初期硬結』や『硬性下疳』と呼ばれるしこりのようなものが現れます。通常は痛みやかゆみなどを伴わないため、発症に気づかないうちに、しばらく経つと症状が軽快します。ただし病原菌は体内に存在しているため、性行為で他者にうつす可能性があります。
また脚の付け根のリンパ節が腫れることもありますが、痛みなどはありません。
第二期梅毒 第一期の症状が軽快してから4~10週間ほど経つと、体内に侵入した病原菌が血液によって運ばれ、手のひらや足の裏をはじめ、全身に発疹が現れるようになります。第一期の症状と同様に痛みやかゆみはなく、数週間~数か月で症状は軽快します。
そのほか脱毛や発熱、倦怠感などの症状が現れることもあります。
第三期梅毒 第二期の症状が軽快すると、数年~数十年にわたって無症状の期間が続きます。その後、約1/3の患者で、骨や皮膚、肝臓などにゴム腫と呼ばれる腫瘍ができたり、心血管や神経に障害が現れたりすることがあります。

梅毒の治療法

 梅毒の検査で陽性と診断された場合には、抗菌薬を内服して治療を行います。内服期間は病期によって異なります。

 梅毒を予防するためには、オーラルセックスでの感染も増加傾向にありますので、前戯を含めて性行為の際にコンドームを使用することが大切です。ただし100%予防できるわけではないため、不特定多数との性行為など感染リスクがある行為を控え、梅毒と思われる症状がみられた場合にはすぐに医療機関を受診したりするようにしましょう。

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