2025年8月12日
尿失禁は何らかの原因で尿が漏れる状態で、いくつかの種類に分けられます。特に一般的なものが、咳やくしゃみなどで腹部に力が入ることで、少量の尿が漏れる腹圧性尿失禁です。日常的に骨盤周辺の筋肉を鍛えることで、改善する可能性もあります。気軽にできるトレーニングのため、今日から積極的に行いましょう。
尿失禁は、自分の意思とは関係なく尿が漏れる状態です。特に高齢者や女性によくみられ、40代以上の女性であれば4割以上が、尿失禁を経験したことがあるともいわれています。
尿失禁の起こり方によって、いくつかの種類に分けられます。
■腹圧性尿失禁
腹部に力がかかった際に起こる、失禁です。骨盤の底には、内臓の位置を支える骨盤底筋と呼ばれる筋肉があります。加齢にともなって筋肉が緩むと、内臓が下がって膀胱を圧迫したり、尿道を締める筋肉の収縮が弱まったりします。これにより咳やくしゃみなど、腹部に少し力がかかるだけで、尿失禁が起こります。また分娩時には骨盤底筋がダメージを受けるため、出産を経験した女性は腹圧性尿失禁が起こるリスクが高まります。
■切迫性尿失禁
過活動膀胱と呼ばれる症候群の一部で、急激な尿意により排尿がコントロールできない、排尿の回数が多いといった状態です。脳卒中やパーキンソン病など、脳や脊髄に障害があることによって起こる場合と、はっきりとした原因がないにも関わらず起こる場合があります。
腹圧性と切迫性の両方の症状が、複合的に表れることもあります。このほか、排尿機能自体は正常なものの認知症などによりトイレでの排尿が困難になる「機能性尿失禁」、膀胱に尿がたまり少量の尿が断続的に漏れ出てくる「いつ流性尿失禁」などもあります。前立腺肥大症を発症している男性は、いつ流性尿失禁のリスクが高いです。
腹圧性尿失禁で症状が軽い場合は、骨盤底筋を鍛えることで、改善が期待できます。肛門と腟を3~5秒程度締め続け、緩めるという動作を5回繰り返します。この1セットの動作を、1日10セット程度行うように心がけましょう。寝ている、座っているなどの体勢に関わらず、効果があります。おなかには力を入れずに、行うのがポイントです。症状が重度の場合は、手術を行うこともあります。
このほか症状によっては薬物による治療や、生活習慣の見直し、排尿のタイミングを調整する訓練などが必要になる場合もあります。
尿失禁は、生活の質を低下させる要因にもなります。思い当たる症状がある場合は、医療機関を受診しましょう。