2025年6月10日
伝染性紅斑は、俗称「リンゴ病」とも呼ばれ、頬に特徴的な赤い紅斑が現れる病気です。主に子どもが発症し、保育園や幼稚園、小学校などで流行が見られます。4~5年周期で大きな流行を繰り返すといわれ、2025年は感染に注意する必要があります。特に妊婦の場合は胎児に影響を及ぼす可能性もあるため、日ごろから予防に努めましょう。
ヒトパルボウイルスB19によって、引き起こされる感染症です。頬が赤くなる症状から、一般的に「リンゴ病」と呼ばれています。国の研究機関の調査によると、2025年4月に1週間あたりの患者数が過去10年で最多を記録しました。
主に0~9歳の子どもが発症します。大人は感染しても関節痛などの症状にとどまり、およそ半分は無症状といわれています。ただし妊婦(妊娠20週未満)が感染した場合、胎児に重度の貧血が起こり、流産のリスクが高まる可能性があります。
感染経路は感染者の唾液や鼻水に含まれるウイルスが、咳やくしゃみで飛び散ることによる飛沫感染や、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染があります。
ウイルスに感染してから4~14日後、両頬に赤い紅斑が現れます。紅斑の境界がはっきりとしており、頬を叩かれたような見た目が特徴です。その後、腕や足にレース模様状の紅斑が広がっていきます。かゆみを感じることもありますが、痛みはほとんどありません。人によっては紅斑が現れる前に、微熱や咳といった風邪のような症状が現れることもあります。
紅斑は多くの場合1週間程度で自然に治まりますが、日光曝露や運動などにより一時的に再発することもあります。
ほとんどは自然に治癒するため、症状に応じた対症療法を行います。発熱や関節痛に対しては解熱鎮痛剤、かゆみがひどい場合にはそれを緩和する薬剤を使用します。発熱などがなく全身状態の良い場合は、学校などへの出席停止の必要はありません。
伝染性紅斑は、紅斑が出現する数日前にウイルスの排出量が最も多くなると言われています。感染を防ぐためには日ごろから手洗いやうがいなどで、予防することが重要です。特に妊婦のいる家庭では徹底して感染予防を行いましょう。