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今月の健康コラム

感染症の後に手足の脱力感「ギラン・バレー症候群」

2021年5月7日

ギラン・バレー症候群は、末梢神経の障害が原因で手足の脱力感から始まり、体のあちこちに麻痺が表れる病気です。年代、性別を問わず発症しますが、成人と男性に多く見られます。発症率は人口10万人当たり年間0.4~4.0人と低く、また、多くの方は半年から一年で回復するといわれています。しかし、重症化したり合併症を併発すると、障害が残ったり、命の危険があります。風邪や下痢にかかった後、手足に異常を感じたら、すぐにかかりつけ医に相談しましょう。

ギラン・バレー症候群とは

 人間の神経には、脳と脊髄からなる中枢神経と、その中枢神経から全身に分布する末梢神経があります。ギラン・バレー症候群は、末梢神経に障害が生じることによって、脱力感や麻痺などの症状が表れる病気です。

 発症した患者の約3分の2が、発症前に風邪や下痢などの感染症にかかっています。感染症がきっかけとなり、免疫システムに異常が生じ、自身の末梢神経を攻撃してしまうことが発症の原因と考えられています。

ギラン・バレー症候群の症状

 ギラン・バレー症候群では、風邪や下痢などの感染症後、数日から数週間で足に脱力感が表れ、次第に手や腕にも同様の症状が広がっていきます。手足で同時に症状が表れることや、しびれや痛みが出ることもあります。このほか、顔面神経の麻痺や、呂律が回らないなどの球麻痺、目が動かせなくなる外眼筋麻痺、不整脈や起立性低血圧など、人によって異なる症状が表れます。症状の程度も人によって異なり、重症化すると手足が完全に麻痺したり、呼吸困難に陥ったりすることもあります。

 症状は徐々に進行し、2~4週間ほどでピークに達します。ピークに達した後は、半年から一年ほどかけて回復していきます。再び悪化することはありません。ただし、重症化した方は回復までに時間がかかったり、なんらかの障害を残すこともあります。高齢者や麻痺が重度の場合、特に呼吸筋の麻痺や、血液感染症、肺血栓などの合併症を起こすと、命の危険もあるため、気になる症状があれば速やかに医療機関を受診しましょう。

ギラン・バレー症候群の治療法

 ギラン・バレー症候群では、主に2つの治療法があります。血液浄化療法と免疫グロブリン大量静注療法です。

 血液浄化療法は、血液中の病気の原因物質を取り除く治療法で、いくつかの方法があります。そのうちの一つである、単純血漿交換療法は、体外に取り出した血液から、遠心分離器、半透膜などを使って血漿の中に含まれる有害物質を除去して、再度体内に血液を戻します。交換の回数は病状によって異なります。

 免疫グロブリン大量静注療法は、ヒト免疫グロブリンを点滴することで、免疫の機能を調整する治療法です。

 二つの治療法の効果は同程度のため、デメリットや副作用を考慮しながら、その方に適した治療が行われます。

 症状のピークが過ぎても、筋力が回復しない場合には、リハビリを行うこともあります。

 重症化した場合、集中治療室での治療が必要になることもあります。呼吸筋の麻痺の場合は、人工呼吸器を使用することもあります。

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