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今月の健康コラム

尿意を我慢できない「過活動膀胱(Over Active bladder 通称OAB)」

2020年1月8日

高齢化社会が進む現代では、頻尿や尿意切迫感を感じている人は意外に多く、中には尿意を我慢できずに漏れてしまう人も少なくありません。こういった症状は多くの場合、治療で改善できます。病気の初期症状の可能性もあるため、症状がみられる場合には医療機関を受診してみると良いでしょう。

過活動膀胱とは

 過活動膀胱とは、突然尿意を催し我慢できない(尿意切迫感)、トイレに行く回数が多い(頻尿)、尿意によって夜中に何度も起きる(夜間頻尿)、トイレまで我慢できずに漏らしてしまう(切迫性尿失禁)などの症状が起きる「下部尿路症状」のひとつです。膀胱内にあまり尿がたまっていないのに、膀胱の周りにある排尿筋が収縮することで、突然尿意を催し頻尿を招くことで起こります。原因不明ですが、加齢や精神的ストレス、自律神経の乱れ、たまった尿の量を感知する膀胱センサーが過敏になっているなどの可能性があります。また肥満や高血圧、脂質異常、耐糖能異常などメタボリック症候群が関わっていることがわかっており、中高年に多く発症します。

 過活動膀胱自体が生死に関わることはありませんが、トイレの不安から外出を控えたり、尿失禁によって自信を喪失してしまったりと、高齢者の生活の質(QOL)を損ないます。また、医療機関でも「頻尿や尿失禁」と言うことが恥ずかしくて受診されない方が多く見られますが、日本では過活動膀胱の患者数は頻尿(DRY)と尿失禁(WET)を合わせると800万人以上でたいへん多い疾患です。初診の問診票に「頻尿や尿失禁」と書きにくい時は OAB と記載してください。治療することは健康寿命の観点からも重要です。

過活動膀胱のセルフチェック

 泌尿器の病気は、過活動膀胱以外にも数多くあります。頻尿によって医療機関を受診した場合は、問診や簡単な質問用紙で症状を把握し、その後感染症や尿路結石をはじめとした各種病気の検査をします。該当しない、またはすでに治療されている場合には、過活動膀胱であると判断されます。

 下記の表で質問③が2点以上で全体の合計点数が3点以上の場合、過活動膀胱の可能性があります。合計点数が5点以下は軽症、6~11点は中等症、12点以上は重症と考えられます。

症状 頻度 点数
①朝起きてから夜寝るまでに、何回くらい尿をしましたか 7回以下 0
8~14回 1
15回以上 2
②夜寝てから朝起きるまでに、何回くらい尿をするために起きましたか 0回 0
1回 1
2回 2
3回以上 3
③急に尿がしたくなり、我慢が難しいことがありましたか なし 0
週に1回より少ない 1
週に1回以上 2
1日1回くらい 3
1日2~4回 4
1日5回以上 5
④急に尿がしたくなり、我慢できずに尿を漏らすことはありましたか なし 0
週に1回より少ない 1
週に1回以上 2
1日1回くらい 3
1日2~4回 4
1日5回以上 5

※出典:過活動膀胱診療ガイドライン[第2版]:日本排尿機能学会編集, 2015年,リッチヒルメディカル, p105 表13. ©日本排尿機能学会

過活動膀胱の治療と日頃からできる訓練

 過活動膀胱の場合には、排尿筋をコントロールしている自律神経に作用し、膀胱の過剰な収縮を抑える抗コリン薬と膀胱を拡張させるβ3アドレナリン受容体作動薬が処方されます。どちらも長所、短所があり「尿閉」「便秘」「頻尿の増悪」などが起こることがあります。そういった場合は、すぐに服用をやめ、医療機関を受診しましょう。治療を行っても尿失禁をしてしまう時には、尿漏れパッドやオムツが便利です。使用していても外からはほとんどわからないため、外出でも気兼ねなく利用できます。

 また、過活動膀胱の症状は、自分自身で行う工夫や訓練によって改善できます。下記を参考にしてみましょう。

  • 水分摂取量をコントロールする
    水分を過剰にとっているとトイレが近くなりますので、水分摂取量を
    冬であれば【ご本人の体重( )kg×20】
    夏であれば【ご本人の体重( )kg×25】
    を目安に飲水量と排尿回数をノートにつけてみるのも次の膀胱訓練に役立ちます。
    もっと簡単に、1年を通して尿は1分間1ml腎臓で作られますので、【1日あたり:60分×24時間=1440ml】の水分摂取を目標とされるのもよいでしょう。また、カフェインやアルコールの摂取によってもトイレは近くなります。
  • トイレの間隔を少しずつ延ばす(膀胱訓練)
    頻尿が続くと膀胱が小さくなってしまい、症状が進んでしまう場合があります。トイレの回数を減らすことで、尿意を少し我慢する訓練ができます。数分間の我慢からはじめ、少しずつ時間を延ばして2時間ぐらいまで頑張ってみましょう。
  • 骨盤底筋を鍛える
    膀胱や子宮を支えている骨盤底筋をトレーニングすることで、尿道の締まりを鍛えます。
    最近はTVでいろいろなトレーニングが紹介されています。
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