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今月の健康コラム

胸や背中の激痛「大動脈解離」

2019年9月27日

大動脈解離は体の太い血管が裂ける病気で重大な疾患の一つです。男女ともに70代に多いとされていますが、40代や50代で発症することも少なくありません。冬場の発症が多いと言われてますが、気温の変動、環境の変化なども原因の可能性があります。死亡率が高く、発症した場合には早急に医療機関を受診しなければいけません。少しでも症状が疑われる場合には、すぐに救急車を呼びましょう。

大動脈解離とは

 大動脈は、人体の中でもっとも太い血管で、内膜、中膜、外膜の3層に分かれています。心臓から送り出された血液は、最初に大動脈を通り、細かく枝分かれしながら体のすみずみまで血液を運びます。大動脈解離は、なんらかの原因で中膜が裂け、もともと大動脈の壁だった部分に血液が流れ込むことで、大動脈内に二つの通り道ができる状態をいいます。  

 ほとんどの場合は、何の前触れもなく、突然胸や背中に激痛が起きます。起きたばかりの時は、血管が裂けているため血管の壁が薄くなり、破裂しやすい状態になります。特に上行大動脈に解離が及ぶと、1時間に1%ずつ死亡率が上昇するといわれており、早急な治療が必要になります。

 原因としては、動脈硬化、高血圧、喫煙、ストレス、高脂血症、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群など、様々な生活習慣に関係する場合と、マルファン症候群のように遺伝による中膜の変性が原因という場合があります。

大動脈解離の症状

 大動脈解離は、血管の壁が薄くなって破裂する以外に、大動脈自体や大動脈から枝分かれする重要な枝の血流が障害されて痛み以外に多彩な症状が起きることがあります。血流障害を起こし、脳卒中による意識障害を疑われて脳神経科へ搬送されてから、大動脈解離に気づく場合もあります。手や足の痛みや急性心筋梗塞を疑われ、カテーテル治療を開始してからわかることもあります。

 突然胸や背中の激痛が生じると、大動脈解離をはじめとして色々な疾患が考えられます。症状が改善しない場合は、一刻も早く救急車を呼び、医療機関を受診してください。本人から症状を伝えるのが困難な時には、家族が知り得る情報を詳しく伝えるようにしてください。

大動脈解離の治療法と早期発見のポイント

 大動脈解離の治療は、解離している部位や症状によって大きく異なります。上行大動脈に解離があると、緊急手術を行います。一方で、上行大動脈に解離がない場合には、血圧を下げたり、痛みを和らげて保存的治療をすることが原則です。しかし上行大動脈以外でも破裂や、臓器への血流障害がある場合には、緊急手術を行わなければならないことがあります。

 大動脈解離を起こした直後は、緊急の治療が必要となりますが、急性期後の比較的安定した状態になると、解離した大動脈が弱くなっているため、大動脈瘤になることも珍しくありません。そうなった場合には、手術が必要になることがあります。定期的に専門医を受診することが重要です。

 予防するには、生活の中で危険因子を避けることが重要です。食事や運動はもちろん、アルコールの飲みすぎや喫煙など、日常の生活習慣も注意しましょう。高血圧が一番の原因になるため、日常の血圧管理がとても重要です。

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