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今月の健康コラム

若い男性に多い「気胸」

2019年7月17日

気胸は何らかの原因によってに肺に穴が開いてしまい、空気が漏れて肺がしぼんだ状態をいいます。初期の段階では自然に治りますが、症状が出てくるにつれて、重症化していく病気です。再発も多いため、運動をする場合などは注意が必要です。少しでも症状が疑われる場合は、医療機関に相談してください。

気胸とは

 気胸とは、なんらかの原因で肺のブラ(肺の上部に空気が入ると風船のように膨らむ袋)が破れ、 肺の表面に穴が開くことで、肺の空気が胸腔に入る病気です。明らかな原因がなく発症する気胸を「自然気胸」といい、20歳前後の長身、やせ型の男性に多く見られます。高齢者の場合は、喫煙者で栄養状態が良くないと発症することがあります。交通事故や高所からの転落などによって、肋骨が折れ、肺に刺さることによって発症する気胸を「外傷性気胸」といいます。

 発症すると、胸腔の内圧が上がり、肺が広がらないために呼吸がうまくできません。空気の漏れはある程度に達すると止まることが多いですが、まれに漏れ続けることがあります。漏れ続けると、胸腔の空気が増えていき、心臓や肺を強く圧迫する「緊張性気胸」になる場合があります。

 発症すると、突然の胸の痛み、息苦しさ、咳などの症状があらわれます。症状の程度は人によってさまざまです。緊張性気胸の場合は、高度の呼吸困難、チアノーゼ、ショックなどの重篤な症状があらわれます。

 また、まれに女性が発症することもあります。生理の前後に発症する気胸で、「月経随伴性気胸」と呼ばれます。肺に子宮内膜症があり生理に際して穴が開くことで発症する場合があります。

気胸の分類・治療法

 気胸は肺のしぼみ具合などで、程度が分類されます。程度や症状によって治療法が変わります。再発した場合には、手術が必要になります。

■気胸の重症度

軽度 肺の一番上の部分が鎖骨より上にあり、正常時より肺が少ししぼんでいる状態
中等度 肺の一番上の部分が鎖骨より下にある状態
高度 正常時より肺の半分以上がしぼんでいる状態
緊張性気胸 高度気胸から、さらに空気が漏れ続け、心臓や肺を強く圧迫している状態

■治療法

  • 軽度気胸の場合
    症状が出ていなければ、入院はせずに1~3週間程度安静にし、穴がふさがるのを待ちます。肺の穴が再開通する心配がなければ、漏れていた空気は血液に溶け、自然となくなります。ただし、痛みや呼吸困難などの症状があれば入院をする場合もあります。
  • 中等度、高度気胸の場合
    入院し、胸腔にたまった空気を外に排出する「胸腔ドレナージ」を行います。胸に局部麻酔の注射を打ち、管を挿入し、たまっている空気や新たに漏れた空気を外に排出します。肺が正常状態近くまで膨らみ、空気の漏れがなくなったら、管の抜去を行います。肺の膨らみが良好であれば退院ができます。
  • 緊張性気胸の場合
    空気が漏れ続け、肺がさらに圧迫されると血液が心臓に戻らなくなり、体に送ることができなくなります。そのため、血圧が低下しショックを起こすことで、生命の危機に陥る可能性があります。緊張性気胸を起こした場合には、急いで胸腔内の空気を外に出すことが重要です。一刻を争う場合には、胸に注射針を刺すこともあります。肺が膨らみ、管からの空気漏れがなくなったら、管の抜去を行います。肺の膨らみが良好であれば退院ができます。
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