2017年11月17日
皮膚の水分は、皮脂、セラミドなどの細胞間脂質、尿素などの天然保湿因子によって保たれています。加齢などによりこれらの分泌が低下すると、皮脂膜が薄くなり角質の水分が減少することで、かさついた乾燥肌になります。これを老人性乾皮症といいます。空気が乾燥する秋から冬にかけて症状があらわれることが多く、腰まわりや太もも、すねなどによく見られ、カサカサとして粉が吹いたような状態になります。乾皮症の状態が続くと真皮に存在するかゆみの知覚神経線維が表皮に伸びていき、ちょっとした刺激にも過敏に反応し、赤みやかゆみが起こります。かゆみが治まらず、さらに皮膚をかくことで炎症を引き起こし、皮脂欠乏性湿疹や、かき壊して悪化した貨幣状湿疹へ進行してしまいます。
高齢者の約95%が老人性乾皮症といわれており、その半数がかゆみを訴えています。皮脂分泌量の変化は男女で異なり、男性は60代、女性は40~50代にかけて急激に減少していきます。高齢者特有の要因として本来脱落しているべき角質細胞が表皮に残り、角質層が厚くなっていることが乾燥の助長につながっています。また、皮脂腺から分泌される皮脂の量は、加齢によって減少していくホルモンによってコントロールされているため、年齢とともに皮脂の量も減っていくのです。
健康な人の皮膚は、天然保湿因子やセラミドによる角質層の水分を保持する機能と、皮脂膜の水分蒸散を防止することにより、なめらかで潤いのある皮膚が保持され、高いバリア機能を維持しています。加齢などによる乾燥肌では、皮膚の保湿力が低下してバリア機能が低下している状態のため、肌が過敏に反応しやすくなります。さらに、生活環境も影響しており、暖房などによる室内の乾燥、入浴時の洗いすぎなども要因となります。
皮膚を乾燥から守るためには、体の洗いすぎなどで皮脂を取りすぎないことや室内の湿度を適度に保つこと、また入浴後には保湿成分を配合した外用剤でスキンケアをすることなどが大切です。また、かゆみにまかせてかかないことも大切です。
かき壊しなどで症状が悪化した場合は、かゆみや炎症を抑える外用剤で早期に治療することが大切です。その際も医師の診察を受け、正しい外用剤を使用するようにしましょう。
【日常生活で気をつけるべきポイント】