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今月の健康コラム

「老視」

2015年9月2日

近くが見えにくくなることに始まる老視は、機能的な衰えを自覚する最初の症状ではないでしょうか。初期には、老視であることを認めたくない、あるいは老眼鏡をかけることに抵抗がある方も多いと思います。このコラムで自分の目に合った正しい老眼鏡を作ることがいかに大切であるか、ご理解いただければ幸いです。

老視とは

老視とは、遠くを見たり近くを見たり、自由にピントを変える力が衰えることによって起こるもので、近くのものを見る際に困難をきたした状況をさします。昔から俗に「老眼」と呼ばれています。

ピント調節のメカニズム

目の中には、カメラのレンズに相当する組織(水晶体)があり、水晶体の周りの筋肉は水晶体の屈折力を状況に応じて変化させる役割(調節)を果たしています。近くのものを見るときには、水晶体の周りの筋肉が収縮し、その結果水晶体が分厚くなり近くのものにピントを合わせることができます。私たちの目はこのような調節を自動で行っています。若い人ほど調節力(調節の幅)が大きいのですが、この力は加齢(老化)とともに衰えてきます。

老視の症状

老視は加齢による生理現象ですから、白髪と同じように誰にでも同じように起きてきます。たいていの場合、40歳ごろから徐々に近くを見る作業の時に眼が疲れるなどの不快感が出現します。近くの細かい字が読みづらい、また近くから遠くへ、遠くから近くへと距離の違うものにピントを合わせるのに時間がかかるようになるなどの症状です。
たとえば、新聞や辞書などの細かい字を読むとき、以前よりも目から離さないと読みづらくなりますし、少し暗くなると本などの字が読みづらくなります。また、本を読んでいてふと目をあげると、窓の外の景色がぼんやりして見え、徐々にはっきりしてくるというような症状が起きてきます。
普段から細かい手仕事をする人やパソコン作業などいろいろな距離を見る必要がある人や遠方のものに焦点が合うことの多い遠視の人は、老視の症状をより早く自覚することが多いようです。
逆に近視の人はもともと近くに焦点が合いやすいため老視の症状を自覚しにくいといえますが、普段遠くを見るために使用しているメガネをかけた状態で近くのものがぼやけるなどの症状が出現します。「近視の人は老眼にならない」ということをよく耳にしますがこれは誤りです。

老視の治療

残念ながら、老視は加齢に伴う生理現象ですので治す方法はなく、老眼鏡をかけて矯正する以外に手段はありません。老眼鏡を使わないで見えないのを我慢していると、老視に眼精疲労が重なって体調が悪くなることがあります。その結果、目や頭が重い、頭痛がする、肩こりがする、食欲がなくなるなど、いろいろな症状がでてきます。
老眼鏡には、用途や度数などが異なったいろいろなタイプがあります。その人の生活スタイルや使い道などに応じて選ぶことができます。
仕事の内容やどんなメガネの使い方をしたいのか、何を見たいのかなどについて、細かく伝えましょう。それにより、使用目的に沿った最適なメガネが処方されます。

  • 近用専用の眼鏡
  • 眼鏡レンズの上方は遠くを見るための、下方は近くを見るための二重焦点レンズ
  • 中間距離も見えるようにした三重焦点レンズ
  • 遠方と近方の境界が目立たないよう、段階的に変化していく多重累進焦点レンズ

また、最近は老視用のコンタクトレンズも販売されており、矯正方法の選択肢が増えました。
せっかく適切な老眼鏡を作っても、読書などをする際にきちんとした照明を用いていないと字が読みづらく、眼精疲労の原因になることもあります。老眼鏡を用いて読書などの近くを見る作業をするときには、照明にもきちんと気を配るようにしましょう。

おわりに

自分では老視だろうと思っても、他の病気による視力低下が隠れていることもあります。眼科ではきちんと検査したうえで、老視以外に目に他の病気がないか確認します。自己判断ですませるのは危険です。老眼かな?と思ったら、まず眼科専門医の診察を受けましょう。

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